憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました



「パ……パ?」

蒼太が心細い様子で、由美と直哉を交互に見ている。

「あれ、蒼ちゃんはパパがわからない?」

とも子が不思議そうな顔をしている。

「あのね、ともちゃん。蒼太はずっとパソコンの画面でしかパパを見たことがなかったから、実物のパパがとっても大きくて驚いてるのよ」

由美が説明すると、とも子も納得したようだ。

「よかったね、蒼ちゃん。パパがおうちに帰ってきて」
「蒼太! パパはこれからずっと蒼太と一緒だからね」

直哉はとにかく、蒼太を独占したいらしい。
とも子の母から受け取ると、ぶんぶん揺らしてから抱っこしている。

「パパ? パパ!」

やっと理解出来たのか、蒼太が直哉の首に抱き着いた。
背の高い直哉が抱き上げると、蒼太は天井に届きそうなくらいだ。
父子にむかって、由美は明るく大きな声で言った。

「おかえり、直哉。おかえり蒼太」
「ただいま、由美」「ママ!」

父と息子の声が重なった。
父子が良く似ているとその場にいた人たちは盛り上がり、立花診療所の待合室は明るい笑い声でいっぱいになった。


春まだ早い、穏やかな昼下がりの事だった。



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