グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
6日後。
順調に回復しているジュニアールは、信じられない回復力ですっかり元気になっていた。
手術の傷口も塞がり安定しつつある今日この頃。
窓から外の風景を見て、大きく伸びをしながらとてもご機嫌な表情を浮かべているジュニアール。
コンコン。
病室のドアがノックされると、ジュニアールは嬉しそうな目をして振り向いた。
「どうぞ」
ジュニアールが返事をすると、ゆっくりとドアが開いてセシレーヌが入って来た。
いつもと変わらない白衣姿で、病院オニュフォームと見られる青くてゆったりとしたスラックスを履いて、白いスニーカーを履いている。
「やっと来てくれたのですね、セシレーヌさん。目が覚めた時にお会いして以来、ずっと来て下さらなかったので。もしかしたら、嫌われてしまったのかと思いましたよ」
「別にそんなんじゃないけど…」
「先生もお忙しいですからね、他の患者様もいらっしゃいますし」
そうだけど…そうじゃなかったりする…。
複雑そうな目をしてセシレーヌは何も答えなかった。
「セシレーヌさん、お約束覚えていらっしゃいますか? 」
そう言われて、セシレーヌはハッと思い出した。
手術の前にジュニアールが言った事…。
(手術が無事に成功したら、私の願いを叶えて下さい…)
ジュニアールはそう言っていた。
「…おぼえているけど…」
ムスっとしたままセシレーヌは小さく答えた。
「良かった、覚えていて下さって」
言いながら、ジュニアールはセシレーヌの傍へと歩み寄って来た。
改めて間近で見るジュニアールは、年齢よりも若く見えとても綺麗な顔立ちをしている。
元々王家の男性は長身で190cm近くある為、女子のわりには背が高いセシレーヌが小柄に見える。
手術の前は頭がいっぱいで余裕がなかったけど、今見るとすごい人…。
こんな人に私…大変失礼な事をばかり言っていたんだ…。
セシレーヌはちょっと恐縮していた。
「セシレーヌさん、私の願いを叶える前に。貴女を、本来の姿に戻しますね」
はぁ? 何を言っているの?
驚いているセシレーヌの右手をそっと握ったジュニアール。
握られた右手に不思議な暖かさが、流れ込むように伝わって来るのを感じたセシレーヌは驚いた目でジュニアールを見た。
「この手袋、外してもいいですか? 」
「あ…」
ちょっと待って! とセシレーヌが言う前に、ジュニアールは手袋を外してしまった。
手袋を外されると、セシレーヌは信じられない目をして驚いていた。
外された手袋の下の右手は、とても綺麗で滑らかな肌をしていた。
細くて長い指のセシレーヌの手が、とても引き立って見えた。