グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~


 イディアが帰って行きトワイヤルが戻って来た。

 物陰に隠れていたセシレーヌが出て来て歩いてくると、トワイヤルは何故かセシレーヌに近づいて来た。

「セシレーヌ先生」

 後ろから声をかけられ、ちょっとびっくりしてセシレーヌは振り向いた。
 近くで見るとクールなタイプのイケメンだが、目がとても怖くて何か世の中を全て恨んでいるような目をしていた。
 その目つきにセシレーヌは憎悪を感じた。

「先生、休憩は終わりましたか? 」
「はい…」
「そうでしたが、それは残念です。僕は今から休憩なのですが、ご一緒したかったです」
「そですか…」

 トワイヤルはじっとセシレーヌを見つめて来た。

 何でそんなに見つめるの? なんだか、君が悪いんだけど。
 そう思ってセシレーヌはそっと顔を背けた。

「先生、もしかして火傷の跡なくなったのですか? 」
「い、いえ…」
「なんだか、以前よりずっと綺麗になられましたね。それに、喋り方も穏やかになられたような気がします」
「そんな事はありません」

 顔を背けているセシレーヌに、そっと近づいて来たトワイヤル。

「みんな、先生の事を酷く言っていますが。僕は、そんな事一度も思った事ありませんから」

 近づいて来たトワイヤルが、ニコッと笑いかけてきた。
 だがその笑顔は明らかに気味が悪かった。

「やっと、お話しできて嬉しいです。では」

 去って行トワイヤルを、セシレーヌはじっと見ていた。

 歩く姿は姿勢も良く凛として見えるトワイヤル。
 だが、じっと見てくる視線やニコッと笑った表情の下で何か重たい憎しみを抱えているように見えて怖い…。
 イディアと何かを企んでいるようにも見えるが、何を考えているのだろうか?

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