最強幼女のお助け道中〜聖女ですが、自己強化の秘法の副作用で幼女化してしまいました。神器破城槌を振り回しながら、もふもふと一緒に旅を続けます〜

 町の名前を聞いても、そもそも知らないのだから元いた町かは分からないけれど、ひとまず女の子の言うことを信用して良さそうだ。

「うん。スッキリ。どのくらい寝てたのかしら?」
「それは良かったです。戦神様が寝てらしたのを私が見つけたのは、夕方ですが、今は早朝ですね。時期に日が昇ります」

「え!? そんなにぐっすり寝ちゃってたの? ということはその間、あなた……えーと、名前はなんだっけ?」
「名乗り遅れて失礼しました。町長のモーブの娘、リリィと申します」

 リリィと名乗った女の子を、私はもう一度まじまじと見つめた。
 赤毛の少し癖にある髪は横で二つに束ねられている。

 まだあどけなさを残す愛らしい茶色の瞳は、ひたすらに私に向けられていた。
 町長のモーブと同じように、簡素だが、質の良さそうな乳白色のドレスを身にまとっていて、その佇まいかた育ちは良さそうだと分かる。

「リリィがずっとここで私が起きるまで待ってたの?」
「え? あ、何度か別の人に代わってもらいましたけど、基本は私が」

 そういうリリィは何故か嬉しそうな顔をする。
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