何度だってキミに、好きを届けたくて。

夜の特訓。

帰り道。

私たちは家の方角に向かって、川沿いの道路を歩いている。

落ちかけの夕日が、川を照らして、流れる水が輝いている。

春佳くんはとにかく、よくしゃべった。

私は頷いて聞いているだけだったけど、なんだか違和感を覚えた。

いつもだったら、私にも質問をしてくれるのに、今日はなんだか春佳くんのおしゃべりが止まらない。

私は特別話したいことがあるわけじゃないし、春佳くんの話を聞くのは好きだから良いんだけど……。


でも、なんだかいつもと違う春佳くん。

不思議に思っていても仕方がないので、聞いてみることにした。



「どうしたの?」

「え?」

「なんか……。無理しているような気がして」



そう。

なんだか、無理している感じがする。

なにに対して無理をしているのかは分からないけど、自分を取り繕っているような、そんな感じ。


私が春佳くんに聞いた瞬間、春佳くんの明るかった表情は消えた。

そして少し悲しそうな、どこか悔しそうな、複雑な表情をしていた。
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