夜明けの天使たち
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私は、予め送っておいた段ボールを片付け始めた。

夏川さんは

「荷解き、手伝いましょうか?」

そう言ってくれたけれど

「ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。だって…私の荷物、これだけですから」

自嘲気味に笑うしかなかった。

身一つ、とまではいかなくても、本当に最低限のものしか持たずに飛び出してきたのだ。

家族にも行き先を伝えていない。

「一人暮らしをすることにしました」

たったそれだけ書き残し、家族の眠っている間に出てきたのだ。
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