ライバル×あて馬=勝ち確最恋方程式

私のこれまで2




 なんとか編入試験をクリアして、私は家族より一足先にアメリカを発った。

 本当なら夏休み後の二学期に合わせて登校できる予定だったんだけど……。
 運悪くフライトが一便欠航した影響で、日本に到着したのはお昼前だった。

 登校日には間に合わなかったけど、このまま学校に向かえば下校中の景にばったり会えるかも。
 その日は部活もないということをユキから聞いていたので、私は意を決して校門前で待ち伏せていた。

「……ねえ、あの子誰だろう?」
「私服だけど、他校生かな」
「ていうか、めちゃくちゃ可愛くない!? いや綺麗!」
「おい見ろよあの子、もしかして誰かの彼女か!?」

 少しずつ正門から生徒たちが出てくる。
 私服で来てしまった私はかなり目立っていた。前までの私なら、周囲の視線が気になって逃げていたかもしれない。

 でも、今は違う。
 もちろん人前に出るのは相変わらず落ち着かないけど、耐えられるようになった。

 そして何よりも、この時は景との再会に胸を躍らせていたから、他のことが耳に入らなかったのだ。


「あ……」

 握りしめたスマホから、ピコンと音がした。
 見ると、ユキからメッセージが。

《櫻葉、たった今正門に行った!》

 その短い文字に心臓が跳ね上がった。
 もうすぐで景がここに現れる。

 緊張で、喉が乾いて仕方がなかった。


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