いちごみたいに甘酸っぱい君のアイ 〜序章〜
そう、数年前。
俺らが中学三年だったころ。
夜も遅いし、そろそろ寝ようかと話していた時に、総長である陽雅がある女子を連れて帰ってきた。
そう、その女子こそ紗綾だ。
正直、女が嫌いな俺にとってそれは眉間にシワを寄せるようなことだった。
でも幹部室に入ってきたのは……俺が今まで見たことがない毛色の女だった。
もう何も信じられない、死ぬことしか考えていないような表情を浮かべていた。
紗綾が纏う雰囲気は儚げで今にも消えてしまいそうだった。
自分もそうだったからわかる。どこか親近感を覚えた。それが俺と紗綾の出会い。
陽雅「宗谷。今すぐ風呂をわかせ。んでカナを連れてこい。」
カナというのは、とある下っ端の妹さんだ。
宗谷は何も言わずに陽雅の指示に従った。
そしてカナにお風呂にいれられていた。
風呂に入れさせたのは、髪の毛はボサボサで、服も古いものだったからだろう。
風呂から出たあとは、伸びきっていてピンで止めていた前髪をカナによって綺麗に切りそろえられてた。
そしてお役目が終わったからか、カナはお辞儀をしたら去っていった。
前髪が切られて、現れたのは、とてつもないくらい美しい美少女だった。