観念して、俺のものになって


その後、すぐには帰らず途中で立ち寄ったコンビニで時間を潰したりして。

家に帰り着いたのは、
1時間くらいしてからだった。


自宅の郵便受けを恐る恐る覗き、何度も振り返りながら自分の部屋の鍵を開け中に入る。

玄関の鍵とチェーンを震える手でかけた。


やっと安全な場所へ帰ってこれたんだ……

私は安堵のあまり、そのまま玄関でへたり込む。


「ふ…っ……ううっ……!!」


扉の前でガタガタ震えて、
漏れそうになる嗚咽を堪える。

声を殺しても、涙と感情が溢れて止まらない。

いい大人だというのに、
ぼろぼろと泣きながら膝を抱える。


正直言って、恐怖でしかない。


全然知らない人に追いかけられたことも、
もしかしたら危害を加えられるかもしれないことも。


紬さんは、いつもこんな思いをしているんだな。


ひとしきり泣くと、だんだん落ち着いてきて……お腹がすいたとか喉が乾いたとか、汗がベタついて気持ち悪い、トイレに行きたいなどといった生理的な欲求が湧いてきた。



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