観念して、俺のものになって


この人、一体どこまで入籍するフリを続けるつもりなんだろう?


チラッと視線を落とした所に書かれているのは、実在する地名や郵便番号。

どうやら店長の本物の個人情報のようだ。

枠を粗方埋め切った店長は、茶色の文字で『婚姻届』と書かれた用紙を私の目の前へ差し出した。


「はい、分かるところ全部書いて。言っておくけど、これは僕の本物の住所だから。スマホで撮影したりしないように」


「なっ.....しないですよ!誰があなたの個人情報を欲しがるって言うんですか?」


全くもって心外だよ。

反射的に嫌味を言い返すと、彼は右手の親指で自身の柔らかそうな唇をなぞりながらニヤリと笑う。


「欲しい人は割といると思うよ」


……そうだった、この人性格サイアクだし、ナルシストだけどイケメンだった!

それも、彼に心酔している異性にしつこく付きまとわれるくらいの。


私はくうっと呻くような声を上げて拳を握った。


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