婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「魔宝石という資源には限りがあります。採掘師たちは、この魔宝石をいつ掘り尽くしてしまうのか、ということを不安に思っているようです。以前、お兄さまもおっしゃっていましたよね。ここではないどこかにあるかもしれない魔宝石が眠っている場所を探すのが、探鉱の仕事であると」

「ああ。どこにどれくらいの魔宝石の原石があるのか。それを調査するのが彼らの仕事だ」

「では、その量を掘り尽くしてしまったら、ここはどうなるのですか?」

「それは閉山という処置をとる」

「閉山したら、ここで採掘に携わっていたシャルコの皆さんはどうなるのですか?」

「それは……。仕事を失うことになるな」
 ヘイデンだって考えていないわけではない。だが、閉山という処置をとれば採掘師たちが仕事を失うことは目に見えている。だからそのときは、他の土地での採掘現場に行ってもらうことも考えてはいた。それを彼らが受け入れてくれるかは別として。

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