婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
◇◆◇◆

 リューディアは今日もクズ石置き場へと足を運んでいた。ヘイデンからもらった資料のうち、採掘量とその中の良品の割合を確認していた。その結果、リューディアが導き出した答えは、クズ石の量が合わない、ということだった。

 ――誰かがクズ石を利用している、ということかしら?

 資料に出ている数値と、目の前のクズ石と、交互に眺めながらリューディアは考えた。クズ石はクズ石。魔力を備えているものといないもの。

 ――あ、もしかして。

 リューディアはクズ石をひとつかみ手にした。それを仕分けする。魔力を取り込むことができて魔力を備えているクズ石と、それができなくて魔力を備えていないクズ石と。リューディアの勘が正しければ、ここには圧倒的に魔力を備えていないクズ石が多いはず。

 ――やはり……。

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