婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「そ、そうだ。名前だ。男の子とばかり思っていたからな。そうだな」
 ううむ、と侯爵は唸る。
「リューディア、リューディアはどうだろうか。女神としてあがめられているリディア神から、名前をいただいた」

「リューディア。きっと、リディア神のように美しく、聡明な女性になることでしょう」
 寝台の上のサフィーナが嬉しそうに呟くと、公爵の腕の中の赤ん坊がにたりと笑ったように見えた。

「おお、笑ったぞ。この名前が気に入ったんだな。よし、リューディアに決まりだ」
「リューディア」
 ヘイデンが呼べば、もう一度赤ん坊がぴくりと笑う。
「リューディー」
「りゅー」
 ミシェルもシオドリックも、生まれたての妹の名を呼ぶ。赤ん坊はぷくぷくとしたほっぺで、幸せそうに眠っていた。

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