婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「うっ……」

「父上も娘離れをしましょう。このままではディアは嫁にいけませんよ。と言ったら、嫁にいかなくていいもん、と言われてしまいそうですが」

「くっ……」

「ディアだって一人の人間です。彼女には未知の力が秘められている。そして彼女に足りないのは、自信。自信が無いから、他人からの視線が気になっている。魔導士団で働き、彼女の力が認められたら、ディアに文句を言うような人間はいなくなるでしょう。そうすれば、彼女だって自信がつくと思うのです」

 ドン、と机を叩いてヘイデンが身を乗り出してきたため、公爵は少し身体を引いた。

「父上。どうかディアを魔導士団にください。それに、モーゼフ殿下との婚約が解消されたのであれば、今まで受けていた王太子妃教育も不要となる。ディアには自由な時間が増えたというわけですよね」

「そう、なるな。だが最終的にそれはディア本人が決めること。いくら私が許可を出したとしても、本人が拒めば、魔導士団に入団させることはしない」

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