婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「エリック・タイラーです。お姉さんにはいつもお世話になっております」

「あ、はい。リディア・オーストンです。姉がいつもお世話になっております」
 少しはにかみながら挨拶をしたリューディアを、エリックは不躾に見つめてくる。

「うわぁ。こんな可愛らしい方と一緒に仕事ができるなんて」

「エリック。妹は、少し引っ込み思案で人見知りのところがあるから。あまりいじめないであげて」

「イルメリさん、僕、いじめてないですよ。イルメリさんにこんな可愛らしい妹さんがいらしたんだな、って」

「そうね。妹とは少し年が離れているから。でもね、こう見えても優秀な魔導士だから。即戦力よ、即戦力。明日、また現場でみんなに紹介するわ」

「はい。リディアさん、これからお世話になりますね」

「あ、はい」
 唐突に話を振られたリューディアは戸惑いながらも、返事をした。エリックは頭を下げると街の方へと消えていく。これから、買い出しにでも行くのだろうか。

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