婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 それはリューディアの本音。アイスクリームは甥っ子たちだけで、自分も兄夫婦と同じように紅茶が配られるのではないかと思っていたから。

「やっぱり、子供は素直が一番だな。明日からよろしく頼むぜ、嬢ちゃん」

 嬢ちゃんと呼ばれたことに、リューディアは少しムッとしてしまう。このように呼ばれたことなど今まで一度もない。
「リディアです。どうか皆さんの前ではそう呼んでください。それに姉はイルメリです。姫さんじゃありません」

「そういう心意気。嫌いじゃないな。よろしくな、嬢ちゃん」
 再びリューディアはむっとして唇を尖らせ、ガイルの背中を睨みつけていたが、アイスクリームの甘い香りの誘惑に負けてしまった。
 ヘイデンとイルメリはあのガイルに反論したリューディアを少し心配したのだが、逆にそんな彼女に温かな視線を向けていた。
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