鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
(……舞踏会が、楽しいだけの場ではないということを)

 覚えのある、攻撃的な視線を感じて、シュエットはげんなりした。

(まさか、あの子がいるなんて。いや、公爵様がいるところにあの子あり、か……)

 グリーヴ・レヴィ。

 シュエットの母方の従姉妹で、公爵様との結婚を夢見る女の子だ。

 金の髪に淡い空色の目。お人形さんのように可愛らしい顔立ちをしているのに、身にまとう香水はまるで夜の蝶のようにけばけばしい。

「あら、シュエット。あなた程度の人間が、どうしてこの華やかな舞踏会へ足を踏み入れられたのかしら? あ、もしかしてお仕事? そうよねぇ、あなたをエスコートしてくれる奇特な方なんて、いるわけがないもの」

 人混みから、三人の人物が現れる。

 正面を切って歩いてきたのはグリーヴで、その後ろには彼女の両親がついて来ていた。
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