愛してるなんて言わない(仮)
駆け出していた。
「……待って。待って室井君…」
小さく離れて行く彼の背中は地下街の中央に向かっていた。
「室井、君……」
息が上がった。美味しかったはずのソイラテ、飲むんじゃなかったとさえ、今は思えた。
息切れして弱々しくなった声、それでも彼の耳に届いたらしい。
室井君の足が止まった。声の主を確かめるように体がこちらに向けられた。
「猛家さん、あ、やっぱりそうだ。……どうしたんです?」
こっちに駆け寄って来てくれていた。
「何か忘れ物?」
忘れ物…。
「……あ、えっと、あの、そう……本当は話があったんじゃないのかと思って。違ったかな?」
勘違い?
「あ……うん、そうだと言えばそうだし、そうじゃないとするならそうではない、て感じです。……でした」
「私、まだ時間大丈夫」
「え?」
「あ、まだ、帰ることが出来る、まだまだ帰りの本数あるから大丈夫ですよ」
もし話があるのなら。
「あーえっと、……いいんでしょうか」
「いいんです、大丈夫だから」
「あ、じゃあ、え、本当に大丈夫ですか?今だってそんなに早い時間じゃない。どっちかと言えば遅い時間になってますけど」
「大丈夫」
今日、今を逃したらもうこんなことはないと思えた。
「……待って。待って室井君…」
小さく離れて行く彼の背中は地下街の中央に向かっていた。
「室井、君……」
息が上がった。美味しかったはずのソイラテ、飲むんじゃなかったとさえ、今は思えた。
息切れして弱々しくなった声、それでも彼の耳に届いたらしい。
室井君の足が止まった。声の主を確かめるように体がこちらに向けられた。
「猛家さん、あ、やっぱりそうだ。……どうしたんです?」
こっちに駆け寄って来てくれていた。
「何か忘れ物?」
忘れ物…。
「……あ、えっと、あの、そう……本当は話があったんじゃないのかと思って。違ったかな?」
勘違い?
「あ……うん、そうだと言えばそうだし、そうじゃないとするならそうではない、て感じです。……でした」
「私、まだ時間大丈夫」
「え?」
「あ、まだ、帰ることが出来る、まだまだ帰りの本数あるから大丈夫ですよ」
もし話があるのなら。
「あーえっと、……いいんでしょうか」
「いいんです、大丈夫だから」
「あ、じゃあ、え、本当に大丈夫ですか?今だってそんなに早い時間じゃない。どっちかと言えば遅い時間になってますけど」
「大丈夫」
今日、今を逃したらもうこんなことはないと思えた。


