禁じられた恋はその胸にあふれだす
料理番の人は、私達が不倫してることを知らない。

私達は、笑い合った。

「へえ。そうなんだ。」

何だか、照れる。


「じゃあ、俺行くわ。」

「うん、気を付けて。」

そして、悠真君は私に耳打ちした。

「今、子作りしてたって言ったら、驚くかな。」

「馬鹿。」

悠真君の腕を叩くそれが、夫婦っぽくて照れた。

離れて行く度に、何度も手を振っている悠真君を見ると、幸せが込み上げてきた。


そして、悠真君はまた翌週も、私の元を訪れた。

「待って。暖簾片付けるから。」

お店に暖簾を入れて、ポケットに忍ばせておいたリップを塗った。

「お待たせ。」

その色づいた唇に、ニヤッとする悠真君。

「変?」

「ううん。ただ……」
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