禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
いかにも危険そうな名前が出てきて、さらに背筋が凍る。
そういえば最近の新聞記事に、【関東最大の反社組織『盈水會(えいすいかい)』と暴力団『京極組』の抗争か】という記事があった気がする。

「奥様、これは以前からありましたか?」
「い、いえ。毎日掃除していますので、覚えています。今朝はありませんでした」
「僕以外に訪問者は?」
「旦那様の秘書の方が、正午頃に……」
「チッ。あの野郎、裏切りやがったな!」

え、あの食材定期便を管理してくれてる男性秘書、裏切ってたの!?
東藤の好きなレシピとか把握してたのに!?
驚きの結果である。結局ホームパーティーは、不穏な空気に包まれたままお開きとなった。

結婚から三十二日目、九條さんが引越してきて三日目。
右腕だった秘書が裏切り者だと知った東藤は、もっと荒れるかと思っていたが意外にも大人しく、私はほっと胸を撫で下ろしていた。
今日は水曜日なので外出はできない。木曜日の食材定期便と新聞の受け取りを楽しみにしていると、午前中に新しい男性秘書が挨拶に来た。
< 25 / 70 >

この作品をシェア

pagetop