禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
「奥様はもうすぐ誕生日でしたね。なにかプレゼントさせてもらえませんか?」
「そんなっ。どうか、お気になさらないでください」

優しいくて強引なキスを思い出して、じわじわと頬や身体が火照って恥ずかしい。
でも、東藤が宣言していた四十九日目の夜が、刻一刻と迫ってきていた。毎夜ベッドに入る度、私は恐怖に震えながら自分を抱きしめて眠る。このまま東藤に身体を奪われるしかないのだろうか。

――初めては、本当に愛している人が、……棗さんが、よかった。

だけど、それは越えてはいけない禁断の一線。伝えられるはずもない。
彼に唇を寄せることもできず、私はただ必死で、愛おしさの滲む彼の視線を脳裏に刻んだ。

その夜は、東藤が珍しく上機嫌で帰ってきた。

「明日は九條君の会社のパーティーがある。うちが儲かってると他社にもアピールできるいい機会だ。お前も着飾って妻らしく振る舞えよ」

そう言って高級ブランドのロゴが入った大きな箱を渡される。
< 52 / 70 >

この作品をシェア

pagetop