禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
ルームサービスを呼んで部屋で朝食を取りながら、棗さんは色々な話をしてくれた。
なんと、棗さんは公安の潜入捜査官で、現在は盈水會に潜入して裏社会事件の摘発を行なっているそうだ。

そんな棗さんが私を見つけたのは約二年前。
会長職に就ていた祖父の付き添いでパーティーに出席していた私に、彼が〝一目惚れ〟をしていたのだと聞いて、驚きで目を丸くする。
そうして命がけの日々の中、彼が今まで私や家族、会社を守るために色々と動いてくれていた事実に、胸の内側がきゅうっと締めつけられて熱くなった。

昨晩のパーティーでギリギリまで私達に接触しなかったのも、私を完全に保護するために東藤の思考力を鈍らせる必要があったから。わざと東藤に魅力的ではない部屋を提示して、私を置いていくように仕向けたらしい。

現在、六本木の家周辺には警察が張っていて、東藤を待ち構えているのだとか。私が今警察に保護されると、東藤が私や家族や会社に恨みを抱く可能性があるので、ホテルで過ごさなくちゃいけないみたいだ。
そこで「ホテルから出さないように保護している。お金は心配しなくていい」と棗さんが東藤に伝えて、上手く立ち回ってくれた。
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