カフェオレ色のアナグ・・・ラ[ブ=]無 ─ Anagram ─
 と共に気付いたのは……あ、そうか! 「アナログ」の「ア」!!

「名黒が「アナログ」になっちゃったのって、白亜の末尾の「ア」だったってことよね!? つまり~『アナログ』さんが書類に書いていたのって「白亜 名黒」のフリガナだったのでしょ!?」

「察しが宜しいですね。その通りです」

 『ハクア ナグロ』──苗字と名前の順番が逆のフリガナだったのだ!

 更に左利きの手の影で、ハクアの「ハク」がちょうど見えなかったのに違いない!

「僕が書いていた書類は、パスポートの申請書ですからね」

「なるほど~!」

 確かにウチの市役所は、パスポート・センターも兼ねている。

 ──え? あ……でも、それって──

「『アナログ』さん、何処か海外行っちゃうの!?」

 想像した未来に不安を感じて、あたしは焦って問いかけた。未来への不安──不安?

 そう、ワタシが思いついた未来は──
 
「あ、いえ……とりあえず、小旅行、ですよ?」

 アナログさんはアナログさんで、ワタシが動揺したことに動揺したみたいだった。

 答えなのに疑問形になったことが、ワタシが慌てた理由を問うていた。


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