観測の牢獄
(29)
「藤村操だ。
前に言った通り、死ぬ理由に貴賤は無い。
君は両親のことが理由で、私は形而上学的な理由だった、それだけのこと。
ただ、私の躰から流れ出ていく血の流れを見ながら、私は悟ったんだ。
これは、『完璧な自殺』じゃないってね。
だからあの時は自分で救急車を呼んだ。
まぬけな話だ」
前に言った通り、死ぬ理由に貴賤は無い。
君は両親のことが理由で、私は形而上学的な理由だった、それだけのこと。
ただ、私の躰から流れ出ていく血の流れを見ながら、私は悟ったんだ。
これは、『完璧な自殺』じゃないってね。
だからあの時は自分で救急車を呼んだ。
まぬけな話だ」