観測の牢獄
(4)
涙が枯れる頃。
寒月の冷気が肌に刺さり始める、夕暮れ時だった。
朱の光を背に、そのヒトが私の所にやってきた。
「やあ、姫森(ひめもり)さん、自殺を失敗した気分はどうだい?」
寒月の冷気が肌に刺さり始める、夕暮れ時だった。
朱の光を背に、そのヒトが私の所にやってきた。
「やあ、姫森(ひめもり)さん、自殺を失敗した気分はどうだい?」