男達が彼女を離さない理由
「でも、『そこそこ』と言うぐらいだもの、相当好きね。その女性が羨ましいわ」
 なんでそんなに「そこそこ」という単語にこだわる?
「実際今の状態から進展するかどうか保証が無いよ」
「なるほど。でもまぁ時間の問題だわね」
「そう願いたいね」

 彼女をカフェに連れて行こうかとも考えたが、何故か気が引けた。俺に女が居るように思われたくない、或いはMaggieを他の女の目に触れさせたくない。そんな気持ちになる理由がわからないが、ここは心の声に従おうと思う。
 2週間後彼女はアメリカへ帰って行った。成田空港まで見送り、ゲートでキスをして別れた。
 久し振りに女の体に触れたせいか頭のてっぺんから爪先までスッキリとした。男ってなんて単純な生き物なんだ、と少し物悲しさと虚しさを感じた。

 どうしても真っ直ぐ家に帰る気になれず、2週間ぶりにカフェに寄った。
 彼女は独りで居た。俺の顔を見るなり、
「輝いてる」
 と言った。ほんとかよ。バレバレだ。その後、彼女はそのことに一切触れなかった。大人だな。ありがたい。
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