男達が彼女を離さない理由
8番目の役割
「ご想像にお任せしますけど、多分そんなにかけ離れてはいないと思います」
 と彼女はモナリザのように微笑んだ。
 彼女についてはプライベートな部分がごっそり抜けていて、俺は名前や年齢でさえ知らないでいるのに、どんどん外堀が埋まっている。勿論それが彼女のリアルな人間像であることは間違い無いのだから、それこそ名前なんか二の次で良いぐらいの気持ちになって来た。
 彼女だって俺のことは何も知らないはずだ。彼女以上に俺は自分自身のことを話してないのだから。
 それにしても彼女は、今まで付き合った女達とは全く違う距離感を醸し出すなぁ。例えて言うなら、馴染みの娼婦? 性風俗に例えるのは失礼な気もするが、こんな古い表現しか浮かばない。娼婦はそれを生業として身を立てるが、彼女は違うのは確かだ。わかる人だけわかれば良い。
 ボーフレンドが俺を含めて8人。さて、8人目の俺は彼女自身が感じる距離感のどの辺に位置付けられているのだろうか。
 一番近くに居るのは何人目なんだろう。
 あ、残すはあと1人、まだ見てないな。
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