男達が彼女を離さない理由
「彼にそんなミーハーなファンが居るとは知りませんでした」
 と言って彼女は笑った。そして、小説家もボーイフレンドの1人だと白状した。
「大学の先輩なんです。たまに題材集めに市中に出て来るの。私もたまにアイディアを出したり」
 と言った。
「どんなアイディア?」
 俺が持っている本に彼女のアイディアが生きているのかと思うと嬉しくなった。
「それは企業秘密。言えません」
 なるほど。そう来たか。
「彼はどこに住んでるんだ? 近いのかな」
「あーそっか、その辺はあまり知られてないわね。彼はホテル住まいなのよ」
 それで「市中に出て来る」と言ったのか。どこのホテルなんだろう。彼女は行ったことがあるんだろうか。そしてこないだは? 彼女の部屋へ? うわっ、考えてることが下世話過ぎて自分がイヤになる。
 ふと、そう言えば彼の書く女性像は彼女に似てると気付いた。え、てことはあんなこととかこんなことをしてる場面も?
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