男達が彼女を離さない理由
化学反応
「ほんとに交友関係が多岐にわたってるんだね」
 翌日の夜、いつもの雰囲気に戻った彼女がカフェに居た。
「彼は高校の後輩なの」
「で、ボーイフレンドの1人?」
「まぁね」
「歌詞や曲のアイディアを提供してる、と」
「まぁね。女の気持ち的なとこを訊かれることが多いんだけど、私って一般的な女の思考回路ではない気がするから、役に立ってるかどうか疑問よね」
 彼女は自分自身を一般的でないと考えているのか。確かにその辺の同調圧力に流される女達とは明らかに違うかな。
「なんてグループなの?」
 彼女の口から出たグループ名はやっぱり俺の知らないものだった。
「私ね、高校の時にロックバンドのボーカルやってたの」
 おっと、珍しく彼女が自分のことを語り出したぞ。
「そうなんだ。とてもそんな風には見えないよ」
「今は音楽から離れてるから。私が高3の時、文化祭で歌ってたら、当時中学生だった彼が観に来てて、影響されたんだってさ」
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