線香花火の初恋【短編】
卒業式があり、クラスメイトで河川敷で季節外れの花火をしようとなった。


夕方頃、クラス委員がバケツとたくさんの手持ち花火を持ってやってきた。みんなそれぞれに盛り上がりを見せている中、どうしても一番初めに見つけてしまうのは岸田君だった。


学生服から着替えてきたのは黒色に空色のラインが入ったジャージだった。
相変わらずクラスの中心にいて、手持ち花火をギャーギャー取り合ってて微笑ましい気持ちで見る。

クラス委員が手持ち花火をとりあえず全員分配るというので、一列に並んだ。前の人から、どんどん掃けていく。

「はい、花本の分」

横から渡されたのは線香花火で、渡してきたのは岸田君だった。
びっくりしたけど、思わず、睨んでしまう。

「普通の花火がいい」

「いや、お前はこれ、であっち」

指さした方向はだれもいなかった。
もうすでに手持ち花火をもらった組は各々で楽しんでいる。
嫌がらせだろうか、散々、見てきたから。彼女と別れた原因を作ったかもしれない女だから。
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