溺愛の形・わがままな純愛・後日談(エピローグとプロローグ)
「その・・まだ、
共同経営者なのだから・・
人前ではちょっと」

ユリアは唇に指を当てて、周囲を気にしている。

ああ、かわいいな、
困っている様子もかわいい・・
ケイレブは、フワフワの気分だった。

「人前じゃなければ、いいね」
ユリアは、少し頬が赤い。

恥じらう天使は人間の営みに、
まだ慣れていないのだ。

ケイレブは手をあげて、馬車を止めた。

馬車は市場を抜けて、
王宮の城下の石垣を、ぐるりと
道沿いに進んでいく。

王宮の正門を通り過ぎて、通用口の前で降りた。

ケイレブは、ユリアにマントを
はおるように促した。
天使を、あまり人目にさらしたくはないとの判断だ。

王宮の通用口にも、護衛の兵士が立っている。
「よっ、こんちわ、アーカイブの者だが」

ケイレブは笑顔で、兵士に合図をした。
「この人は俺の連れだから・・」

「わかりました。お通りください」
兵士は顔色を変えず、ケイレブに敬礼をした。
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