ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 女性が首を伸ばす方向を振り返ると、ロビーを歩いている彼女がいた。

 品のいい膝丈のコートの裾から、形のいい綺麗な脚が伸びて短めのブーツを履いている。

 彼女の後ろ姿はすぐに探し出せる。

 あんなふうに颯爽と歩く、後ろ姿まで美しい女性はなかなかいない。

 

 急いで追いかけた。

「桜子、桜子!」

 何度か呼んで、ようやく彼女が振り返った。

「慎一郎さん」

「ありがとう。これ」

 スマホを掲げると、彼女はにっこりと微笑んだ。

「いいえ、どういたしまして。では。お仕事がんばってくださいね」

 ペコリと頭を下げて、行こうとする彼女の腕を取った。

「せっかく来たんだ。医局のみんなに紹介しよう」

「えっ、そ、そんな」

 ギョッとしたように桜子は体をのけぞらせるが、構わず手を引いた。

「まあいいから。知っておいてもらって損はしない」

「で、でも私、なんの手土産もありませんし」

「いいんだよ。そんなの気にしないで」

 戸惑う彼女の腰を抱き、最初に八代を紹介する。
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