ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
「そうだったのね。なにも知らずに、ごめんなさい」

 小池は謝るが、父は止まらない。

「疑われるような行動を取る方がおかしいんだ」

 言い返そうとしたところで母が止めに入った。

「あなた、誤解だってわかったんだからいいじゃないの」

「私のせいですみません」

 小池は項垂れたまま、せっかくのディナーは最悪の結果になった。

 一応礼儀として食後のコーヒーまでは一緒に取ったが、俺はムカムカと怒りがおさまらず、早々に自分の部屋に行った。



 ひとりになり改めて考えた。

 彼女はいつも廊下で対応していたし、ひとりでルームサービスなどで中に入るときは必ずドアを開けたままにしていた。

 あるとき彼女がインカムをつけているのに気づき、その時に聞いたのだ。

『朝井様のような紳士なお客様ばかりではありませんから』

 細心の注意をはらっているはずだ。

 少なくとも彼女は軽い女ではない。その証拠に俺が初めての男だった。

『抱いてくれますか』

 夕べ、そいつになにかされたのか?


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