ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
「ハウスキーパーのしのぶさんがなんでもやってくれるから、私はストレッチとかして、おやつを食べたりすっかり怠け者になりそうよ」

「それでいいんだよ」

 桜子はこくりとうなずいた。

「無理はしないって決めたから。とにかくふたりの無事に生まれた顔を見るまではね。なによりもそれが大切だし。一番に考えないと」

 桜子の話を聞きながら思った。

 彼女がこんなふうに言うときは、自分に言い聞かせているんだろう。

「ああ、そうだな。とにかくのんびりするといい、生まれた後は大変だしな」

「そうよね。きっと毎日が上へ下への大騒ぎになるわよね」

 リクライニングチェアに座った彼女の膝にひざ掛けをかけた。

「ありがとう」

「ホットミルクを飲もう。俺も飲みたいから用意するよ」

「ええ? 慎一郎さんも飲むの?」

「最近のマイブームだ」

 実を言うと俺の場合はそこにバーボンウイスキーを混ぜるがな。

 そんなふうに君の楽しそうな顔が見れるなら、俺はなんだって好きになるさ。

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