ドＳな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
　ふと思い立って聞いてみた。

「そういえば慎一郎さんはいつまで実家にいたの？」

「大学卒業までいたよ。それから渡米して。ひとり暮らしを始めたのは帰国した去年から」

　なるほど、実家を出たのは今の病院で勤務するようになってからなのね。

　ときどき実家に行くと言って家を空けていても、ご両親の話はしないからすっかり遠い存在のように思い込んでいた。

　でもそうじゃない。慎一郎さんにとって実家は近い存在なのだ。

　彼は家を継ぐ人なんだもの。

　つらつらと考えていると車が減速し、道路から少し左に寄って静かに停車する。

「さあ、着いた」

　えっ、ここ？

　目の前には大きな門がある。

　高くて太い門柱に、向こう側が見えない重々しい門扉。左右を見れば、高い塀が道路の交差点までずっと続いている。

　呆然としていると、ゆっくりと門扉が開いた。

「どうやって開けたの？」

　慎一郎さんがなにかした様子はないのに、門が勝手に開いた。

「あそこにカメラがついているんだ」

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