ドＳな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

　ここは広いからゲストルームとして使っていない部屋もあるが、優斗までお世話になるようで心苦しい。それでなくても経済的に援助してもらっているのに。

　私の心配をよそに、彼は「待っているよ」と電話に向かって言っている。

　どうやら、帰ってくる話がついたようだ。電話を切った彼はにっこりと頬を上げる。

「決まった。再来週授業が終わったらその足で来るってさ」

「あ、そう」

　微妙な微笑みになったらしい、向かい側に座る彼が右手を伸ばし私の額をツンとつつく。

「そんな顔をしていると、いったん離婚するぞ？」

「え？」

「離婚すれば俺の財産の半分は、君のものになる。それなら納得できるか？」

　そんな……。

「頼むから、そんな申し訳なさそうな顔をしないでくれ。俺はうれしいんだ」

「うれしい？」

　力強く頷いた彼は、にっこりと微笑んだ。

「君のおかげで弟ができた。しかも俺と同じ道を進もうとしている弟だ。応援したいし、ここを実家と思ってもらえるならうれしくて仕方がないんだよ」