10年目の純愛
さあ、出掛けよう!

20年後


大喧嘩した私たちは、離婚ではなくやり直すという選択肢を取った。
互いに修復しようと頑張っていたように思う。
ぎくしゃくしながらもなんとかここまでやってきた。


裕太はいつも私のことを大切にしてくれた。
優しくしてくれた。


けれど、いつしか裕太は私に触れなくなった。

重たい荷物も持ってくれるし、家事も手伝ってくれる。
休日には家族で出かけることもあった。

けれど、寝室は別々で、互いの部屋に入ることすらなくなった。

友人が遅めの出産をしてお祝いを持っていく頃、私達はレスになっていた。




私達の間には家族愛はあっても、男女の愛情はもう消え失せてしまったのだと思う。
大体、裕太の心の中には、『ナナ』さんがいるのだから・・・。


もう少ししたら、裕太を開放してあげなくてはと思う。



息子が小学校を卒業したら・・・中学校を卒業したら・・・。
そんなふうに思ってはいたのだけれど、その度に裕太から離れられない自分自身に気が付いた。

本当に好きならば、裕太のために離婚しなくてはと思う。
けれど、そう思うだけで、胸が苦しくなって涙が溢れてくる。





< 23 / 29 >

この作品をシェア

pagetop