彼の指定席


「……えっ?」



彼は、ひどく驚いた顔であたしを見る。



やばい……。

つい……。



彼が真剣にやっていた携帯のゲーム。


それはチェスのゲームで。

偶然にも、あたしがいま夢中になっているものと全く同じだった。



「すみません、あたしもそのチェスやっていて、つい……」



恥ずかしくて、身を縮めながら言うあたしに、彼はにこりと笑った。


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