彼の指定席
彼女は増永さんの隣に座り、親しげに話しかける。
誰だろう……。
仕事仲間かな……。
こんなときでも、あたしはファミレスの従業員という立場を忘れない。
彼女の存在。
増永さんと彼女の会話。
気になるのに……。
あたしはメニューブックを彼女に渡し、そして、お冷を出す。
ことり、と小さな音を立てて置いたお冷グラス……。
あたしは、彼女の言葉を聞いた瞬間、置いたお冷グラスを倒しそうになってしまった。