彼の指定席
「あっ、ごめんなさい。あたし、ちょっと立ち寄っただけだから。もう出ますね」
立ち去ろうとするあたしの背中に向かって、彼女がすまなそうに言った。
「じゃあね、弘樹。明日はあたしのお弁当、食べてよ?」
「うるせぇなぁー」
念を押す彼女に対して。
増永さんは、「うるさい」と言いつつも、口元が緩んでいたんだ。
彼女が店を出て行ったあと。
増永さんは食事を始める。
どうする、あたし。
からかう振りして、核心突いてみる?