彼の指定席


「彼女ですかー?」
「ここで食べないで、彼女のお弁当食べるべきですよー」



……言葉が出てこない。


だってあたし、泣くのを我慢するのに必死だから。



なにか言葉でもかけてしまったら、あたしは絶対に泣いてしまう。



「藤原さん」


「……えっ?」



手洗いした灰皿をダスターで拭いていると、不意に彼から呼ばれる。



「ずっと、聞きたいことあったんだけど」


「……なんでしょうか?」


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