彼の指定席
うん、分かってる。
それは、痛いぐらいに分かってるよ。
けどね?
自然と口をついて、意地悪な言葉ばかりがこぼれてしまう。
彼女の存在を知ってから……。
彼女がお弁当作るって言っているのに、増永さんが店に来るから……。
「あっちは、微妙に遠いからさ。ちょうど目の前にあるここが一番いいんだよ」
「そうですか。それなら、彼女さんにペペロンチーノ弁当を作ってもらったらどうですか?」
「…………」
やばい。言い過ぎた……。
黙っちゃったよ……。