彼の指定席


そう反省しながらも……。


増永さんを前にすると、あたしはやっぱり意地悪な態度を取ってしまう。



ダメ、ダメだってば。

必死にもがいている、もう一人のあたし。


けれど、感情はそれに応えることができなくて。



ただ

ひたすら


暴走する――。



増永さんに、話しかけることがなくなった。

そして、増永さんも、あたしに話しかけなくなった。


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