俺様ヤンキーは溺愛王子
「いえ、そんなことないと思いますよ。」
これは本心だ。龍基のお兄さんは確かにカッコよかったけど龍基も結構カッコいい。

もう少し笑っていれば絶対モテると思う。
だからお世辞ではない。
私の言葉を聞いた龍基は一瞬笑ったように見えた。

「特別に教えてやる。」
切り出したのは珍しく龍基だった。

「俺んちは兄貴が一人、姉貴が一人、妹が一人いる。俺は4人兄弟の3番目だ。」
「そうなんだ。」
私は龍基の家族構成を知って羨ましいなと思ってしまった。
(こんな気持ち持ってはいけない。)
わがままは言うわけにいかない。

「お前は?」
龍基に聞かれ、静かに答える。
「私の家は兄弟がいなくて私だけです。お父さんもお母さんもいてくれるけど少し寂しいかな?なんて。」

(何言ってんの。私。)
誰にも言ったことないことを龍基に言ってしまった。

(こんな本心は誰にも言わないって誓ったのに。)
真剣な眼差しの龍基を前にすると勝手に口が動いていた。
弱々しく笑って龍基を見ると目があう。
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