イノセント*ハレーション
卒業ソングと言えば、母の時代なら"仰げば尊し"だったのだろうけれど、あたし達は"旅立ちの日に"を歌った。

歌の途中で感極まって泣いてしまう子もたくさんいる中、あたしはいつにも増して声を張り上げて歌った。

まさか1組1番で皆勤賞だから、満場一致で代表に選ばれ、校長先生から証書を受け取ることになるとは思わなかったけど、それを誇りに思い、母に負けず劣らずの上機嫌で歌えたのだから良かった。

全体の卒業式が終わると、最後のホームルームの時間になった。

ショートカットからあたしと同じくらいの長さにまで伸びた髪をアレンジしてもらい、赤を基調とした袴姿が凛々しくも美しい大橋先生に見惚れているうちに、呆気なく最後の話は終わった。

その後は自由解散となり、あたしは日葵に校門の看板のところで母との2ショットを撮ってもらった後、化粧が崩れまくっている母を先に帰し、教室へ戻った。

生徒はまだまだ残っていて、黒板を汚くしたり、卒業アルバムの真っ白いページにメッセージを書き合いっこしたり、それぞれに忙しくして哀しさを紛らわしているように見える。

だが、あたしの周りには哀しさを全面にアピールする強者がいる。


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