Rain or Shine〜義弟だから諦めたのに、どうしたってあなたを愛してしまう〜

「そういえばこの間父さんがさ、ボウリング大会で優勝してさ」
「えっ、すごいねぇ!」
「母さんはフラメンコ始めた」
「今度はフラメンコ? いつまで続くかなぁ」

 他愛もない会話。それがこんなにも懐かしくてホッとする。私が落ち込んでいたりすると、恵介はいつも楽しい話をして励ましてくれた。

 いつも私のそばにいてくれた恵介。手に入らないのにそばにいるのが辛かった。でも今はこうしてそばにいてくれるだけで安心するの。

「瑞穂、この部屋は好きに使っていいから。俺は後で別の部屋を取るから安心して」

 そう言われた途端、瑞穂は突然恐怖に襲われる。一人になる……そこにもし崇文が来たら? また怒られる……!

「ま、待って! 一人にしないで……崇文が来たら……私……お願い……恵介が嫌じゃなければ一緒にいて欲しい……!」

 恵介は立ち上がると、瑞穂の前に跪く。両手を伸ばして彼女の顔を包み込むと、優しく微笑んだ。

「瑞穂が嫌じゃなければ俺はそばにいるよ。瑞穂を守るのが俺の使命だからね」
「……使命?」
「うん、こっちのこと。気にしなくていいよ。大丈夫、俺が全てのことから瑞穂を守る」

 恵介に力強く言われ、瑞穂はただ頷いた。
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