Rain or Shine〜義弟だから諦めたのに、どうしたってあなたを愛してしまう〜
「あんたさっき証拠はないって言ったよな。もしそれがあるって言ったらどうする?」
「はぁっ? 何を……」
恵介は天井を指差す。その場にいた全員がその指の先を目で追うと、そこには火災用報知器があり、そこに小さなカメラのようなものが取り付けてあるのが見えた。
「今ってさ、結構簡単にこういうのが買えるんだ。あんたのさっきの行動はしっかり録画されてるから、もう言い逃れはできないよ」
崇文の胸ぐらを掴んでいた手を離し、不敵な笑みを浮かべる。
「証拠はしっかり揃ってる。裁判になったらどちらが勝つかなんて明白だよ。あんたは受け持った案件だけでなく、自分の裁判ですら負けることになるんだ。自業自得だな」
悔しそうに唇を噛む崇文に、恵介は容赦なく現実を突きつけていく。その姿に瑞穂は胸が熱くなった。
もう逃げられないと思っていた現実から、恵介が救い出してくれた。初めて男の人として意識したあの頃のまま、彼はどれほど時間が流れても、頼りになるヒーローに変わりはなかった。
無理よ……あなた以上の人なんかいないの。どうやったって、私はあなたが好き……その気持ちは一生変わらないんだわ。