心はあなたを探してた
「おい、ちびほ。終わったか?」

帰ってくれてて良かったんだけど。と考えていることを知ってか知らずか、私の代わりに企画開発部に書類を突っ返しに行っていた主任が、私の頭をくしゃくしゃと撫でながら、覗き込んできた。

「久川主任、ちびほじゃなくて里帆です。書類は正確な久川主任がいつまでも名前を覚えられないんですか。しかも里帆の方が短いんですけど。」

「半人前のチビだから、ちびほでたくさんだ。文句があるなら、早く独り立ちしろ。」

そりゃ、あなたから見たら女の子はみんなチビになるでしょうけど。

「久川主任、こんな書類の山を定時で処理なんて無理です。」

「俺はこの量なら16時くらいに終わるぞ。実際、残業はお前のチェックがなければ、やらないで済んでいるからな。それに年度末が近くなるとこんなもんじゃない。今から残業の練習出来て良かったな。」

やいやい言われながら、なんとか10時前には今日の分の書類を片付け、私は、よろよろと立ち上がった。

「お疲れさん。明日も頑張れや。戸締りはやっとけよ。」
 
肩を軽く叩くと主任は、スタスタとエレベーターに向かってしまう。

残された私は、急いでPCをシャットダウンさせると更衣室に向かった。

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