大切なあなた
「今日も、唯が付いてくれるんだろ？」
先に目が覚めてベットから出る私に、影近が聞いてきた。

「そのつもりだったけど」

午前中は県主催の音楽フェス。
小中高生の演奏や影近との交流を中心にしたイベント。

「私、一度家に帰ってから迎えに来るから」
「何で？このまま一緒に行けばいいだろ」
「何言っているのよ、昨日と同じ服を着て２人でホテルから出てくれば誰が見ても怪しいじゃない」
そんなこともわからないのか、この男は？

「別に悪いことした訳じゃないんだから、いいじゃないか」
「それは・・・」

影近の中で、悪いことってどんなことを言うんだろう。
体の関係がなければそれはセーフなんだろうか？
じゃあ、月のことは？
月を身ごもった時、影近も私も独身だった。
でも、その後影近は結婚して家庭を持った。
それはアウトなんだろうか？
その場合責められるべきは・・・

「おい。電話なってるぞ」
「ああ」

その時かかってきたのは月からの電話だった。
< 23 / 29 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop