パパの浮気現場
真相
「どう? 少しは楽しめた?」
……え? なんで?
ここにあるはずのない声に視線を向けると、いかにも楽しげな様子のママが、いつの間にやら私の後ろに立っていた。
「……ママ?」
なんで、ママがここに?
てか、なんで、ママ笑ってるの?
だって、パパの浮気現場のはずで……いや違う、パパは浮気してたんじゃなくて、従姉の梨央ちゃんと会ってただけで……。
「だって、未玖、つまんないつまんないって、あんまり言うから」
ママはにっこり笑って小首を傾げた。
「……ちょっと待って?」
「ほら、エスカレーターだから大学受験もないし、女子校だから出会いもないし、生活に潤いが欲しい、もっとドキドキすることないかなーって」
パパは訳が分からないって顔して、私の顔とママの顔を交互に見た。
「咲子さん、これ、どういうシチュエーション?」
ママはそれには答えなかった。
訳が分からないと言った表情のパパは、
「分かる?」
と梨央ちゃんに声をかける。
梨央ちゃんも何のことやらって感じで小首を傾げた。
「ん? だから、未玖があんまりつまらないっていうから、ちょっとした潤いをプレゼント、っての?」
「ママーーー!!」
言ったよ、つまんないって言ったよ?
確かに言ったけど!!
「まあ、年に一度のお楽しみってことで」
ママはにんまりと笑う。
「……あ」
三日前、4月1日。エイプリールフール。
あのメールはママが送ったんだ。
や・ら・れ・た。
がっくりとうなだれる私の背中をママはポンポンと愉しげに叩いた。
<完>
……え? なんで?
ここにあるはずのない声に視線を向けると、いかにも楽しげな様子のママが、いつの間にやら私の後ろに立っていた。
「……ママ?」
なんで、ママがここに?
てか、なんで、ママ笑ってるの?
だって、パパの浮気現場のはずで……いや違う、パパは浮気してたんじゃなくて、従姉の梨央ちゃんと会ってただけで……。
「だって、未玖、つまんないつまんないって、あんまり言うから」
ママはにっこり笑って小首を傾げた。
「……ちょっと待って?」
「ほら、エスカレーターだから大学受験もないし、女子校だから出会いもないし、生活に潤いが欲しい、もっとドキドキすることないかなーって」
パパは訳が分からないって顔して、私の顔とママの顔を交互に見た。
「咲子さん、これ、どういうシチュエーション?」
ママはそれには答えなかった。
訳が分からないと言った表情のパパは、
「分かる?」
と梨央ちゃんに声をかける。
梨央ちゃんも何のことやらって感じで小首を傾げた。
「ん? だから、未玖があんまりつまらないっていうから、ちょっとした潤いをプレゼント、っての?」
「ママーーー!!」
言ったよ、つまんないって言ったよ?
確かに言ったけど!!
「まあ、年に一度のお楽しみってことで」
ママはにんまりと笑う。
「……あ」
三日前、4月1日。エイプリールフール。
あのメールはママが送ったんだ。
や・ら・れ・た。
がっくりとうなだれる私の背中をママはポンポンと愉しげに叩いた。
<完>